トレンド

ショートドラマで
観る逆転劇

年末年始に目が離せない作品や、2025年の国内人気作品を取り上げたキャンペーンも開催中。

人生というドラマの中では、様々な人との関わりがあり、時には八方ふさがりのピンチに陥ることも、理不尽な思いをすることも多々あります。こんな絶望的な状況をひっくり返して、解決してくれる人が現れてくれたら。おとぎ話のような逆転劇を心のどこかで待ち望むときもあるでしょう。そんなモヤモヤを吹き払ってくれるようなショートドラマが、人気を集めています。

ショートドラマは、1話が数分以内と短いもので、移動や休憩の空き時間などにも気軽に視聴できます。iPhoneなどでの視聴に適した縦長のフレームで製作されているものも多くあり、近年、ショートドラマ専用の配信アプリが登場したり、人気の配信アプリ内に投稿されるコンテンツの数も増えてきたりと、ショートドラマというジャンル自体が日本でも急速に広まっています。

1話あたりの分数が短いがゆえに、これまでの動画コンテンツよりもドラマの展開が早いものが多くあります。特に逆転劇が起こるドラマの中には、1話目から数秒の間にめくるめく展開が繰り広げられるものがあり、この後どうなるのかと、物語の行く末に目が離せなくなります。

このストーリーでは、そんな盛大な逆転劇が繰り広げられるショートドラマ作品を3本紹介します。

「この世に至尊は我一人!」

最初の1本は、神奈川全域を統べ、「至高の存在」と呼ばれる青葉凡太郎(あおばぼんたろう)が主人公の「この世に至尊は我一人!」です。

凡太郎はその正体を隠して、組織内の部下の女性、謝花夢瑶(しゃかむよう)と結婚しました。凡太郎は影ながら妻の成功を助け、そのおかげで夢瑶は順調に組織の中で位が上がっていきます。ですが、自分の出世にしか興味のない夢瑶は凡太郎の正体はもちろん、やさしさや影ながらの支えに気づかず、無能なダメ男だと彼をさげすむようになります。

自らの昇進パーティーの当日に、凡太郎に離婚を求める夢瑶。甘んじてそれを受け入れる凡太郎でしたが、さらにたたみかけるように、夢瑶はパーティーの会場でも彼をあざけり、侮辱します。やがてそれは夢瑶の取り巻きたちにも波及し、激しい侮蔑の言葉や嘲笑が広がる中、ついにその時がやってきます。人々の本性が明らかになったのを見届け、凡太郎は静かにリベンジを開始するのです。

属性にとらわれて本質を見抜けない夢瑶たちと、何も持たないように見えた凡太郎を信じた人との間にどんな結末が訪れたのか。底辺から最高位への逆転劇は怒濤の結末へ向けて加速したまま駆け抜けていきます。

「辰年!故郷への華麗なる帰還」

次に紹介する逆転劇は、「辰年!故郷への華麗なる帰還」です。主人公の林安(りんあん)は、国でトップレベルのグループ企業の会長をしています。ですが、その性格は謙虚で、思慮深く、自らに過剰に気をつかう部下たちを気づかう温厚な人柄です。立場に関係なく接してくれることを求めてか、林安は妻をはじめ、その家族たちにも自身が会長であることを知らせていません。

正月に妻の実家のある地方を訪れた林安。現地の関連会社でも社長以外は林安の素顔を知らず、初めての会長の来訪を社員たちは喜んで迎えます。

ですが、出迎えにきた妻やその両親と出会うや否や、義母から離婚を迫られてしまいます。義母は娘が、林安が会長を務める会社の系列会社の副社長の息子に慕われていることを知り、娘をその息子と再婚させたいと考えます。

妻の蘇瑶(そよう)は、林安の人柄を愛していて、離婚するつもりはありません。ですが、実家に訪れた親戚たちは次々と蘇瑶に離婚をすすめ、はじめは林安に、やがて蘇瑶自身にもひどい言葉を投げかけます。

当人同士の愛情や信頼には目を向けず、自分たちの都合で地域の権力者との姻戚関係を求めて離婚を迫る親戚たち。彼らの浅ましい本音を知った林安が真実を明らかにした瞬間から、華麗な逆転劇が繰り広げられます。


「旅館バイトは社長令嬢⁉︎~お嬢様の華麗なる逆襲~」

最後の1本は、「FOD SHORT」で視聴できる日本製のショートドラマ、「旅館バイトは社長令嬢⁉︎~お嬢様の華麗なる逆襲~」です。舞台は老舗旅館。元は一ノ瀬財閥が経営していましたが、2年前に冴島麗子という女性に旅館が乗っ取られてしまいました。それ以降、経営が悪化していた中、財閥の一人娘の沙織が立て直したいと立ちあがります。

「身分を隠し、バイトとして働くこと」を条件に旅館に潜入した沙織。旅館を牛耳る冴島麗子の嫌がらせや他の従業員との複雑な関係に耐えながら、やがて旅館そのものの秘密に迫っていきます。


立場というバイアスによらずに真実を見抜くことができたら、どんな未来が見えてくるのか。ショートドラマの逆転劇は、子どもの頃に読んだ物語のように、スリリングな急展開で人間の様々な側面に気付かせてくれる、現代のおとぎ話のような存在として人気を集めているのかもしれません。

©フジテレビ